大阪GMP11.5期の yanoya こと矢野です。
今回はリモート環境下でスピーディーな会議運営を行うためのメソッドとして、いわゆるホラクラシー型組織であるNUCB事業構想ネットワーク運営チームで実践しているアジャイルな議事録の書き方を共有したいと思います。
色々な企業やクライアントとの僕の経験でも、上手く行っているアジャイルなチームには2020年の現在において効率的に議事録を残していくためのある程度の共通したノウハウというものが存在しているように感じています。
今回はその一例として、具体的な方法をまとめていきたいと思います。
議事録を書く目的

さて、そもそも議事録を作成する目的は何なのでしょうか?議事録を書く目的を整理すると
- 参加者間の忘備録として決定事項と経緯を残すため
- タスクと担当者、期限を明らかにするため
- 関係者や、未来の関係者へそれらの周知を行うため
などが挙げられます。
「半永久的に変わらない少数のステークホルダからなるプロジェクト」「法的なグレーゾーンに触れるためエビデンスを残すのは都合が悪い」といったような特殊な場合でない限り、基本的に議事録を残さない組織はおそらくないでしょう。
「議事録を書かない」という謳い文句の会議メソッドも、実際には議事録に相当するアウトプットを別の形で残しています。
ここで留意すべきポイントは、単なる報告は会議の主目的ではないということです。
議事録が作成されるタイミングはいつ?

では議事録ファイルが作成されて参加者へ共有されるタイミングはいつ頃でしょうか?
3日前だったり、当日だったり、はたまた会議が始まる直前でしょうか?
NUCB事業構想ネットワーク運営チームでプロジェクトを進めていると、理想的な議事録ファイルが作成されるタイミングは会議の日時が決まった時、多くの場合では前回の会議終了時なのではないかと私は思っています。
えっ、まだ会議してないのに議事録?と思われるかもしれません。そう、この時点では正確には「議題ファイル」と呼んだ方が正しいのです。会議中は議題ファイルに議事録を記入していく方法を取ります。
つまり、議題と議事録は同じ一つのファイルなのです。まずはじめに会議名、日時、場所(最近は専らZoomですが…^^;)などを記載した、白紙の議題ファイルをGoogleドキュメントなどの複数人で同時編集可能なツールで作成します。
その後すぐにSlackなどのチャットツールでリンクを共有し、会議までの期間に各々話し合いたいことを適宜記入していきます。そうして非同期作業的に会議の議題が完成します。
あらゆることが非同期に進められる2020年現在の通信環境において、この方法がひとつのベストプラクティスだと思っています。
会議中の議事録の取り方

会議が始まるときには全員が議題ファイルを開いた状態で参加しています。冒頭で参加者は自分の名前を参加者欄に自分で記入します。
会議に明確な記録役は存在しません。その瞬間瞬間で話していないメンバーがリアルタイムで議事録を記入していきます。
話してばかりで誰も内容を記入していない場合にはひと目で分かるため、皆が率先して指摘し合ったり記入役を行動で買って出ます。
議題の全体像が見えているため、タイムマネジメントも全員で指摘し合いながら今この瞬間に決めておかなければならないことから埋めていきます。
事前に記入された議題は黒字、議論内容は青字、会議の結論は赤字、などの色分けをすることも視認性を良くして会議の生産性を高めるためには有益です。
会議の終わりに次の会議の議事録を作る

これはよくあることだと思いますが、会議のシメにToDoや担当者をまとめて次回会議の日時を確定させます。
さらに次回会議のための共有カレンダー招待やZoomの予約、白紙の次回議題ファイルを作成します。積み残しの議題があれば、次回議題ファイルにこの時点で記入します。
非参加者を含めた全メンバーへSlackで概要と議事録リンクを共有します。ここまで含めて、ひとつの会議が終わります。
その後の会議までにSlack上で進んだディスカッションについては、過去の議事録を修正せず次回の議題ファイルへ記入していきます。
アジャイルスタイルで議事録を書くメリット

このようなスタイルで議事録を作成するメリットとして
- 参加者全員が議題について十分に考えてから会議に臨むため、会議の生産性が上がる
- 単なる報告など、生産的でない時間を圧縮してディベートに時間を充てられる
- 会議後に参加者へ議事録の承認を回す必要がない
- なので、言った言わないの修正作業を行うこともない
などがあります。各部署や担当者の報告ばかりで「何かを討論する」ことにほとんど時間を使っていない会議はありませんか?(人はそれをクソ会議、と呼びます。。)
かといって誰が何をやっているか分からない組織では、属人化が進みホラクラシー組織のような全員での意思決定や主体的な行動を前提としたチームワークは望めなくなってしまいます。
目指すべき姿は、スピード感を一切損なわずに未来のステークホルダまでも見据えた情報共有を実現すること。今回ご紹介したGoogleドキュメントのような「リアルタイムで編集できるドキュメントツール」を使うことで、単なる電子化にとどまらず、会議のワークフローそのものを変革することができます。
まとめ

いかがでしたでしょうか?(決まり文句)
ぶっちゃけ実際の進め方はプロジェクトで様々であり、ステークホルダの意識やITリテラシーによってはここまで毎回スムーズに行かないこともあります。私たち運営チームでも絶えず改善を続けたいと思っています。「こんな会議&議事録スタイルを実践して学んでみたい!」「もっといいやり方を試したい!」という方はぜひ運営チームへご参加ください。
コロナウイルスの流行によるリモート中心のワークを経験したアフターコロナの世界ではより一層、タスクと議論とアウトプットが密に紐付いたワークフローに変わっていくと思います。まだ見ぬツールの登場によって、今回ご紹介した会議のあり方でさえ時代遅れになるような、もっともっと効率的なワークフローが当たり前になっていくかもしれません。
そんな時代に紙ベースのメモや議事録回覧をいつまで続けますか?コロナショックが気づかせてくれた今だからこそ、従来型の組織でも新しいスタンダードへと変わっていく機会なのもしれません。
最後になりますが、この記事があなたのチームの生産性を上げるための一助となれば幸いです。